最近は日によって気温の変化が激しいながらも、最高気温が20度を下回る日が無くなってきた。
僕はとんでもなく暑がりなので、外出時にはもう半袖を着ている。
機材の放出熱の激しい自宅スタジオでは、すでに短パンにTシャツで夏気分で仕事をしている。
そんな季節になると晩酌には泡盛が最高だ。
最近のお気に入りは、「
菊之露」という泡盛だ。
同じ
菊之露酒造でも「
菊之露VIPゴールド」という古酒もあるのだが、こちらも好みでオススメなのだが、コストパフォーマンスと家での普段飲みのカジュアルさを考えれば、今は
菊之露が一番のお気に入りだ。
最近はありがたいことに、非常に忙しく締め切りの追われている状況だが、1日の仕事が終わっての晩酌で少しは息抜きをしないと、頭も気持ちも追い詰められてパフォーマンスが落ちてしまう。
などど毎晩1人でブツブツと言い訳しながら飲んでいるわけだ。
さて、演歌に使われる意外な楽器の紹介だが、第5回は「クリスタル」だ。
クリスタルって楽器が実在するの、と思う方もいるかもしれないが、これはシンセザイザーの音色の名前だ。
正式には「
GM(General MIDI)規格の128音色配列の099クリスタル」という。
打ち込みといえば、今でこそソフトウェア上で全てを完結することが可能である。
しかし、17、8年前ぐらいまではパソコンからハードウェアのシンセサイザーをMIDI(Musical Instrument Digital Interface)という規格の通信プロトコルでコントロールして発音し、それをマルチレコーダ(多チャンネルの録音機器)に録音する方法で行われていた。
そこで、ハードウェア側のシンセの音色選択の汎用性を高めようと、RolandがGM規格、YAMAHAがXG規格を提唱していたが、通信カラオケの音源(通信カラオケにはシンセサイザーが内蔵されてる)に、RolandのSC-88というシンセサイザーが採用されるようになり、GM規格が主流になった。
演歌歌謡曲業界では、関係者が通信カラオケの音色に馴染んでいるようで「クリスタル」という音色がまるで楽器のように扱われている。
ディレクターとの打ち合わせなどで「イントロはクリスタルで広がった感じでよろしく」なんてオーダーがあったりする。
さて、その音色は簡単に言えばシンセベル。
キラキラした鉄琴のようなウィンドチャイムのような音色だが、音程感もしっかりあり、メロディーや和音を奏でることも可能だ。
実は音色の元ネタがあり、1980年代に一斉風靡したRoland初のデジタルシンセサイザー(その頃はアナログシンセが主流だった)である
D-50の「
Fantasia」という音色である。
当時この音色が世界的に流行し、全米や全英のヒットチャートに入る楽曲でも使われることが多かった。
もちろん日本においても流行し、スタジオのキーボード奏者やシンセサイザーマニュピレータがこぞって使っていたように思う。
そこで、なぜその音色が演歌において今でも多く使われるかということだが、シンセサイザーが無い時代にもキラキラした音色は生の楽器によって普通に演奏されていた。
キラキラ系の楽器として、鉄琴(グロッケンシュピール)、ビブラフォン、エレクトリックピアノ、などがある。
北国や寒さ、または繊細な女心の表現として、キラキラ系の楽器は昭和20年代から使われてきた。
その中でキラキラにも変化をだそうと、RolandD-50を使ったアレンジャーかキーボード奏者がいたのだと思う、
今でもアレンジャーとして、上記の生楽器の選択肢はあるが、それと同等に「クリスタル」もあるわけだ。
その「クリスタル」は、もちろんSC-88やその後継機のSC-88Proの実機がそのまんまの音色だが、現行機の総合音源である「Roland
INTEGRA7」でもその音色での演奏が可能だ。
ソフトウェアでもRolandから「
Sound Canvas VA」というSC-88のVA版もある。
また、「クリスタル」元ネタ機であるD-50を再現した現行機である「
D-05」というのもある。
僕は「クリスタル」という音色を広義に解釈している。
喜多郎が初期のころよく使用した「
Prophet-5」というアナログシンセで奏でるシンセベルの音色も広義にはクリスタル系だと思う。
Omnisphere2などの強力なソフトシンセの10000を越える膨大なライブラリから、何かが新しい、自分の好きなキラキラ系の音色から探し出してもいいと思う。
「クリスタル」という音色は自分らしい個性やセンスを出しやすい。
楽器のイメージやプレイヤーのセンスや楽譜の解釈などのフィルターを通さずに表現することが可能だからだ。
なかなか個性を打ち出しにくい演歌歌謡曲の世界ではあるが、SC-88の「クリスタル」に縛られずに、自分らしい音色を武器にして生き抜いて行きたいと思っている。
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