楽器が好きで、演奏が好きで、作曲が好きで始めたのに、音楽をすることが嫌になることがある。
すでにプロミュージシャンの人でも、それを目指している人でも、趣味で音楽をしている人でも、100%の確率で挫折を経験する。
それでも続けている人は、乗り越える努力をしたか、鈍感力を発揮してスルーしたか、敢えて「
井の中の蛙」を選択したか、だいたいそれの何れかであろう。
前回「
なんでミュージシャンなのか?(その2)」に続きで、今回は「挫折するパターン」について書いてみよう。
挫折の先にあるものについては、次回描いていくつもりだ。
1、どんなに努力しても到底追いつけそうもない才能に出会っての挫折。
スーパースターのミュージシャンに憧れて楽器を始めた人は多いと思うが、名の知れた人の才能に対しては普通は嫉妬はしない。(例外はあるが、その人は大成すると思う。)
しかし、近い年齢や学歴や育った環境や地域など、自分に近いコミュニティーの中でどうにもならない才能に出会ってしまえば、嫉妬し絶望する。
敢然と努力で立ち向かう人、違う方向に転換する人、足を引っ張って陥れる人、諦めながらも惰性で続ける人、敢えて「井の中の蛙」を選択する人など、いろいろな選択肢はある。
しかし、僕の経験上で言えるのは、すごい才能の持ち主も公平に挫折し、そういう人に限って意外と簡単に諦めてしまったりする。
取り敢えずの継続でも乗り越えられる壁も結構多いと思う。
このケースは周りにチヤホヤされていたほど陥りやすい挫折であるが、挫折するヒマがあったら、たとえカッコ悪くても、とにかく食いついて離れるな、と言いたい。
2、親ブロック、嫁ブロック、夫ブロックでの挫折。
親ブロックのケースは、大学の卒業などのライフイベントの節目や、25歳や30歳などの年齢の節目に起きるようだ。
地域や親族のコミュニティーにおいての、所謂「世間体」で反対されることが多いと思う。
その節目の時に充分稼げていれば良いが、アマチュアやセミプロでアルバイトをしながらの状況だと、かなり強力な親ブロックがあるらしい。
また、スタジオやツアーで充分稼げていても、TVに出ていないと認めて貰えないという話もよく聞く。
嫁ブロック夫ブロックは、もちろん結婚や出産で、安定した収入や世間並みの育児を望まれる時に起きる。
どちらにしても、音楽の世界から足を洗って、普通に就職したり、育児をしたり、場合によっては介護をしたり、家族を大切にする生き方は普通に正しい。
しかし、意外と子供の頃から親と確執がある場合も多く、家出して親と縁を切って音楽の世界にのめり込む人もいる。
そうは言っても、妻の妊娠を契機に音楽の世界から足を洗う人も多く、その時の嫁や夫のブロックは最強だ。
音楽の収入がある程度安定してから結婚する手段もあるのだが、その頃には結構歳をとっている可能性が高い。
そうなると、子育てを経験することは難しいように思う。
僕はそのケースだ。
3、フリーランスという立場に疲弊しての挫折。
フリーランスという立場は、組織で守られていないし保証もない。
プロであっても、腕が衰えているわけでもないのに、飽きられただけで仕事が来なくなることもある。
若手との価格競争に負けてしまうこともある。
仕事を取るためには意外と見た目も重要だし、いろいろと情報を発信して
セルフブランディングもしなければならない。
音楽以外に社交力も必要で、いろいろな集まりに出席して顔を売らなければならない。
先ずは需要に応えなければ仕事が来ないので、やりたい音楽とか、理想ばかりではメシは食えない。
アマチュアからセミプロになった辺りで、こんな現実を前にして、思い描いていたミュージシャン像とのギャップに心が疲弊して、普通に就職をして足を洗う人も多い。
他にも、練習しすぎて腱鞘炎になったり、歌いすぎて喉にポリープを作ったり、いろいろな理由で挫折することもあるが、取り敢えず上記の3パターンの挫折については、共感できる人も多いのではないだろうか。
しかし、成功者であっても挫折の繰り返しの中で成長してその立場にいるのだろうし、どんなに挫折しても音楽の世界にしがみつく人もいる。
次回はその辺りのことを書いていこうと思う。
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