ハイレゾ音源を
e-onkyoからDLにて購入してみた。
ハイレゾとは、「high resolution/ハイレゾリューション」の簡略した言葉で、意味は「高解像度」という意味だ。
CDの解像度は、量子化(クォンタイズ)ビット深度が16bitで、サンプリング(標本化)周波数44,1kHz。
ビット深度の16bitはともかく、サンプリング周波数は理論上は44,1kHzで充分なはずだ。
なぜなら、健康な人間の聴覚で感じられるもっとも高い周波数は20kHzと言われているが、44,1kHzのサンプリング周波数で理論上では20kHzの高周波を充分表現できるからだ。
音響的には、デジタル(数値の変化)ではイメージ的に点であったものを、アナログ(電圧の変化)に変換する時に、点を結んで線にする作業が行われる。
周波数が高いほど音の波の周期が短くなるから、高い周波数ほど点の結びつきの線に「角」がででくる。
特に20kHz周辺では殆ど2点間の結びつきで周波数が表現されてしまう。
それはノコギリ波(saw wave)と呼ばれる波形で、本当は正弦波のような曲線で表現される波形も、強制的にノコギリ波になってしまう。
また、量子化ビットもアナログからデジタルに変換するときに、量子化ノイズというものが発生する。
量子化とは、ざっくり言えばアナログレベルの音の大きさを分割して数値化することで、例えばCDの16bitの規格では、65536ステップに分割される。
その分割された65536ステップに入らない間の大きさの場合は、近いステップにそろえられる。
そうすると、原音のアナログ波形からのズレが生じ、辻褄が合わないところはノイズになる。
それが量子化ノイズだ。
ビット深度が深いほど、量子化ノイズは小さくなり、高い周波数に移行していく。
CDが発売されはじめた当初は「デジタルは音が固い」とか「耳が痛い」とか「高音がノイジー」とか言われたのは、それらの問題処理方法が完全に確立されていなく、まだ暗中模索であったからだ。
その代表的な方法として、「ディザー」というものがある。
「ディザー」と呼ばれるデジタルノイズを高周波周辺に混ぜることによって、ノコギリ波の角の部分を曖昧にし、量子化ノイズを目立たなくするのだが、それを音響機器メーカーが先を競って研究開発をはじめ、徐々にCDの音質は良くなっていった。
方法は勿論それだけではないのだが、あまりに専門的になるので割愛する。
それでもアナログのメディア(レコード盤や磁気テープ)の音を知っている人にとっては、「ディザー」処理された音が不自然に感じられる。
特にクラッシック音楽やジャズなどでの小音量時には顕著である。
そんな時は、かけたディザーの種類によっては、本末転倒なことにディザーそのものの音が聞こえることもある。
その「ディザー」処理された音が気になる人にとっては、44,1kHzのサンプリング周波数は不満で、もっと高いサンプリング周波数にして、ディザー処理を耳に感じられない周波数で行って欲しいわけである。
僕がPT(ProTools)に録音している解像度は、24bit48kHz、最近は32bit48kHzである。
それは解像度の限界まで使い切るより、PT内部やプラグインでの演算処理時や、それぞれのチャンネルの音が最後にミックスされた時に歪まないように、余裕が欲しいためだ。
実際に各チャンネルに録音のbit深度は、24bitであっても多分16bit程度しか使っていない。
僕にとっての高解像度は、録音やMix時のプロセスにとっては重要だが、CDの16bit44,1kHzの解像度もそんなに悪くない、もしかしたら充分なのでは、と思っていた。
CDの解像度は、確かにディザー処理により高域は曖昧だが、20kHz付近の音が聞こえる人は少ない筈で、年齢の若い人には聞こえても、加齢とともに徐々に聞こえなくなり、僕くらいの年齢層ならば16kHzくらいがまでしか聞こえないのではないか、と言われている。
ハイレゾ音源を作るとなると、もし製作的にも販売的にも高コストになるのならば、無料のYouTubuで充分と思っている層が増えている現在において時代に逆行しているのではないか、と思っていた。
また、ハイレゾ音源は聞くにしても、それが可能な音響機器を新たに購入する負担がリスナー側にもかかる。
僕は正直、ハイレゾ音源に対して懐疑的であった。
今回はハイレゾ音源そのものに触れられなかったが、この続きは次回に。
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