前回の記事
ハイレゾ音源を購入してみた。(その1)はこちら。
今度はキチンと購入音源の話。
購入したのはアルバム2つ。
1、
Gaucho / Steely Dan (WAV 192kHz/24bit)
2、
Emperor/Fantasy-Beethoven&Schumann / Berliner Philharmoniker and Daniel Harding and Yundi(WAV 96kHz/24bit)
先ずは「
Gaucho / Steely Dan」から。
こちらはこの音楽業界に足を踏み入れた頃から聞き続けている「My Reference Music」だ。
PAエンジニアをやっていた時も、レコーディングエンジニアをやっていた時も、先ずはこのCDを再生して「いつもの音」にサウンドシステムをチューニングするのが、僕のいつものやり方だった。
今でも、自宅スタジオの機材更新時やスピーカの定期チューニング時には、このCDの音を基準にしている。
音楽として音質もバランスも絶妙に良いのは当たり前だが、それぞれの楽器の音像が小さくて定位がシビアなので、スピーカの位置やルームチューニングが悪くて位相や反射音に問題がある場合もすぐ解るので重宝している。
また、サウンドシステムのどこかの音域に不自然なディップやピークがあった場合、各楽器間の繊細なバランス、特にVocalのバランスが余りに微妙で、聞こえるはずのものが聞こえにくくなったりするので、問題を解決しやすい。
購入ページの説明を見ると「国内オリジナル・アナログ・テープを基にした2010年最新DSDマスター 」とのこと。
「国内オリジナル・アナログ・テープ」がどういう素性のものか、マザーテープが何なのか気になる所だが、まあ善意に考えてトラックダウン時の音に限りなく近いものであるとしよう。
問題なのが
DSDマスターを
PCMである192kHz/24bitに変換したことだ。
デジタル→デジタルか、デジタル→アナログ→デジタルで変換したものだろうか?
音質的には僕は後者の方がすぐれていると感じているからだ。
もちろん、D/AコンバータやA/Dコンバータがマスタリング仕様のものを使っていると仮定しての話だが。
DSDからPCMへのデジタルでの変換は、そのアルゴリズム的にまだまだ発展途上だと思う。
できるだけ、いつもの環境に近づけるためにDLしたデータはPT(ProTools)11に、そのデータの解像度である「WAV 192kHz/24bit」のセッションで取り込んでみた。
実際聞いてみると「いつもの音」ではなかった。
確かに音の解像度があがって、各楽器やVocalのいままで気がつかなかったようなディティールが聞こえる。
しかし、奇跡のような絶妙のバランスは崩れていた。
低域や高域の伸びは素晴らしいが、作り手であるドナルド・フェイゲン氏の意図と違う方向に、周波数のワイドレンジ感が強調されていないだろうか?
やはり作り手がハイレゾを意識して作らないと、こういう事になるのだろうか?
もしかしたら、危惧はしていたがマスター音源やコンバート方法に問題があったのかもしれない。
どちらにしても、ロックな音楽にはハイレゾはあまり意味が無いのかもしれない。
少なくても「192kHz」のサンプリング周波数はいらないと思う。
無駄にデータが大きいように感じる。
ところで、僕の尊敬しているミュージシャンの山下達郎氏は、24bit48kHzの解像度で作業しているそうだ。
ロックは周波数的にはナローレンジの方が想いは伝わりやすい、とのことだ。
僕も同感だ。
次に
Emperor/Fantasy-Beethoven&Schumann / Berliner Philharmoniker and Daniel Harding and Yundiを聞いてみた。
クラシック音楽ならハイレゾ化も意味がありそうだ。
それに2014年の録音とのことなので、製作サイドも当然ハイレゾ化を意識して作ったのだと思う。
そんなところで、この続きは「その3」で。
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