プライベートの時、初対面の人に「お仕事は何をなさっているのですか?」とよく聞かれる。
まあ、ひげ面でユルい格好しているので、そりゃサラリーマンには見えないわな。
「ミュージシャンです。」と答えると、ほぼ100%聞かれるのは、
「どんなジャンルの音楽をやっているのですか?」
これには困ってしまう。
作編曲の仕事なんて、様々な価値観やニーズに応えられるスキルが命の仕事なのに、ジャンルなんて・・・
プレイヤーだって、ロックバンドとか、オーケストラとか、特定のジャンルの音楽だけでメシ食えるミュージシャンはいいけど、頂いた仕事を一生懸命取り組むことが全てで、ジャンルなんてこだわっていない(いられない)ミュージシャンがほとんどだと思う。
逆の立場で考えてみると、プロのミュージシャンの現場を知らない人にとっては、ジャンルでカテゴライズしないと、ミュージシャンという職業は解り難いものなのかもしれない。
ステージや音楽番組でキラキラ光り輝いている存在?
オーケストラで燕尾服を着て、至高の芸術を目指す求道者のような存在?
ストリートで懸命に自己表現している存在?
体制批判を叫び、荒ぶれながらもピュアな存在?
ミュージシャンにとってそんなカテゴライズは迷惑に思えるのだが、解り易さや親しみやすさの観点で考えてみると、ジャンルという切り口もあるのかもしれない。
ジャンルの背景には生活や文化があると思う。
誰もが、自分の価値観や生活感からかけ離れた音楽を聞く事は、苦痛ではないかと思う。
昼間はひたいに汗して働き、夜の一杯の酒と演歌。
コンピュータと納期とデバッグの戦いの日々に、寝る前に聞くボサノバ。
子供と手をつないで保育園の送り迎えの時の一緒に歌う、アニメソングや童謡。
ミュージシャンとして、自分の音楽はどういった人達の心に届くのか、届いて欲しいのか、熟考してみるのも良いかもしれない。
「どんなジャンルの音楽をやっているのですか?」に対して、
僕は「作編曲やってます。具体的には劇伴という映画や演劇やドラマのBGMを作ったり、歌謡曲や演歌の編曲とかやってます。」
長い上に解り難い。
「劇伴」の定義から入らなければ解らないし、歌謡曲とか演歌とかは「あの着物着て唄ってる音楽のこと?」なんて思われてしまうかもしれない。
僕はどちらかと言えば、ステージで輝く存在ではなく、そういう人を支えるスタッフとしての色が濃いので、自分の仕事の説明としては、もしかしたらそれでいいのかもしれない。
しかし、自己表現で輝くことで収入を得るタイプのミュージシャンなら、ジャンルにこだわって、解り易さや親しみ易さを表現することも必要かもしれない。
やっぱり、僕はそういう人を支えることが仕事なので、それでいい、ではいけないな。
敢えてミュージシャンとしてジャンルにこだわってみることを、しばらく考えてみようと思う。
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