ソニーの
ハイレゾ対応のウォークマンが人気だそうだ。
ハイレゾとはハイ・レゾリューションの略で、高解像度という意味だ。
CDの規格はビット深度が16bit、サンプリング周波数が44.1kHzの解像度である。
楽曲のマスター音源の解像度は、一般的に24bit/48kH or 96kHzの解像度が多い。
レコーディングにおける標準的
DAW(デジタル オーディオ ワークステーション)である「
Avid/ProTools」はバージョン11になってビット深度が32bitになり、また浮動小数点演算できるようにもなり、レコーディングの現場の音質のクオリティは益々上がっている。
話は少々脇道にそれたが、ハイレゾ音源とはマスター音源か、それに近い音である可能性が高い。
更に話がそれるが、「それに近い音である」というのは、そのままのマスター音源はダイナミクスを重視した状態なので、音の小さいところと大きいところの差が大きくて、そのまま聞くと迫力不足に感じられる可能性がある。
なので、マスタリングという工程で、適度のダイナミクスに調整し、音の小さな部分もできるだけハイビットで情報を入れて音の迫力を出し、突出したピーク成分を圧縮して全体的な音圧感を上げる作業が行われる。
ハイレゾ音源対応オーディオ機器は、ぶっちゃけて言えば「マスターを聴く」ということだろう。
それも(まあ、我々の世代から見てだが)比較的若い世代に「ハイレゾウォークマン」が売れているとのことだ。
それがタイトルの「最近のリスナーは耳が肥えてきてるのだろうか?」の答えになるのだろうか?
mp3やYoutubeのストリーミングで充分で、CDの音やましてハイレゾなんて、もしかしたらいいのかもしれないけど、自分にはきっと差がわからないだろうし・・・
なんてリスナーが一般的だと思っていたが、急に何かのきっかけで変化したのだろうか?
いや、変化なんかしたのではなく、今も確実に多数派として存在していると思う。
僕は「耳が肥えた」人は実は以前から存在している思っている。
それも、大金をかけて音質を追求する、俗にいう「オーディオマニア」ではなく。
個人的な考えであるが、それはポップス系の音楽専門学校の功績であると思っている。
プロミュージシャンやロックスターを目指して、高卒で音楽専門学校に入る人は意外に多いようだ。
正確な数字は手元にないが、
かなりの学校数が全国的にあるということは、それだけ生徒数があって経営的に成り立つと言う事だろう。
私立の音大もポップス科を設けているところも増えている。
僕らの世代の若い頃には片手で数えるほどしかなかったのに・・・
以前は、その卒業生のほとんどはプロになれないので、僕はその存在価値に懐疑的であった。
現役のプロミュージシャンのローディーをしたり、作曲家やプロデューサーのカバン持ちをしながら理論や技術を独学で身に付けることががプロへの早道だと思っていたので・・・
それに、今は音楽産業なんて衰退産業で、どんどんプロミュージシャンの需要がなくなってきているのに・・・
最近、僕は考え方を変えた。
何年も音楽を勉強して、演奏やアンサンブル、ライブやコンサートの経験は、人生において「特別なサムシング」だと思う。
「どう生きる」なんて哲学的なことはあまり得意でないが、多少回り道であっても、音楽のある人生はとりあえず楽しいと思う。
たとえ仕事としての音楽から離れることになっても、音楽の深さを知った人には音楽は特別なものであり続けると思う。
スタジオやライブで実際に楽器弾いてアンサンブルした「音」は、どんな高価な再生機器でも表現できない「音質」である。
そして、プロのミュージシャンのメンタルや演奏や録音のプロセスがその出た音から理解できること。
フレーズの間の小さな息づかいから、ピックの当たる角度、アンプのノイズや、スタジオのアンビエントや空気感。
情報量の多いハイレゾ音源に関心を示すのも無理も無いと思う。
こうして「耳の肥えた」人が増えているわけだ。僕らも心して音楽に取り組まなければばならないと思う。
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