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良い音と楽な音

今はAFN( American Forces Network、米軍放送網)というのだが、昔はFEN(Far East Network、極東放送網)と言っていた。

今から30年以上前のこと。

エアコンも無く窓を開けっ放しでのドライブで、AMのモノラル放送であるFENを、ダッシュボードの真ん中あたりにあるフルレンジの1スピーカーで大音量(のつもり)で聞いていた頃。

昔は良かった的な話をする気は毛頭ないが、しかしそれは僕のミュージシャンとしての原風景の1つだ。

インターネットのカケラも無い時代には、アメリカの最新の音楽(カントリーやブルーグラスもあったが)がオンエアされるFENは、とても刺激的だった。

ちっとも良い音でないが、不思議とエンジン音や環境音や人間の話し声と調和していて、心地よかった。

今考えてみると、モノラルで音像も無く一点定位なので、一方向からしか音が聞こえないので、別方向から来る音が邪魔されない、というのはある。

AM放送の音質もHiとLoがなくMidのみなので、音量を上げても他の音をマスキングしないというのもあるだろう。

緩い音質に興味深い音楽。

僕の思う「楽な音」とはこういう音だと思う。



僕の仕事場で聞く音質は、商業スタジオと同レベルだ。

同じ機材で電源も200Vを引いている。

吸音も拡散も反射も考えてある。

気持よいかどうかわからないが、癖も無く、解像度の高い、音を作る基準として正しい音だと思う。

聞く音楽は、自分の仕事をそれこそ何百回も出来上がるまで聞き続ける事。

または、仕事の参考や勉強の為の音楽を、なんども繰り返し聞く事。

客観的には良い音なのかもしれないが、時には息苦しい音に感じる時もある。

まあ、仕事だからしょうがないのだが・・・



お酒を美味しく飲みたい時に、楽しみで聞く音楽。

それには、定位も音像もワイドレンジも高解像度もいらない。

天井方向に向けたのフルレンジの1Wayのスピーカー。

天井や壁に反射した間接音は、柔らかくて心地よい。

まあ、変な共振や共鳴や逆相には細心の注意が必要なのだが・・・

先に書いた「原風景」の音は今は聞く術もないが、「緩い音質に興味深い音楽」は再現可能だ。



「良い音」を追求することも良いが、同時に「楽な音」を追求することも忘れてはいけないように思う。

「良い音」を追求するあまりに、音楽を聞く事が楽しくなくなれば本末転倒だ。

僕は「良い音」と「楽な音」が共存する環境をもっと深めていきたいと思っている。

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