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1970年代のマクドナルドは今より遥かに美味しかった。

僕は高校生の時、マクドナルドでアルバイトをしていた。

今から37年くらい前のこと。

トレーニーと呼ばれる研修期間中は、白い帽子と時給も¥390だったと思う。



その頃のマクドナルドは、ビッグマックソース、タルタルソースは店舗ごとに半分手作りで、シンクと呼ばれるバックヤードでピクルスをみじん切りにしてたりした。

レタスは金気があると時間がたつと色が悪くなるので、ビックマック用のレタスはシンクでマメに短冊に切っていた。

ミートは片面づつ1分焼いてひっくりかえし(ターンレイ)、焼き上がるのに2分ほどかかっていた。

作って10分で売れないと廃棄処分にしていた。

それは、肉汁がバンズに沁みたり、ピクルスやケチャップのの水分が混ざったり、ミートがそれに冷やされたりで味が極端に落ちるので、出来立てこそがマックの味だというプライドだったのだろう。

その頃は、カウンターごしに大勢の若いクルーが磨き抜かれたキレイなキッチンで働いていた様子が見えて、若い活気と共に、食に対する安心感も得られた。

安い時給であったが、サークルやクラブ活動のような雰囲気で、それに惹かれて学生が大勢働いていたように思う。

今がどういうオペレーションなのかは、昔と違って今はカウンターから作っている様子は非常に見にくくなっているので想像するしかない。

何かを隠したいのだろうか・・・



僕は20代の頃は極端に貧しく、稼ぐお金は楽器や機材やスタジオ代やその交通費などに右から左に消えて行き、基本的に自炊をしていた。

もちろん¥100マックなど無くて、標準価格米(死語?)という安い古米を炊いて食べていたので、マックなんて高級すぎて高値の花だった。

それが、30代になって少し余裕ができたので10 年ぶりくらいにマクドナルドのビックマックを食べてみた。

それは僕の知っているビックマックの味ではなかった。

パサパサのバンズに、しなしなのレタスに、酸味が無くなり甘くなったビッグマックソース。

セントラルキッチンで仕込んでいるのだろうが、少なくても出来立ての鮮度にはほど遠いと思った。

特にバンズを購入する業者を変えたか、単価を落としたのか、バンズの味の劣化にはビックリした。

その違和感に懲りて、マクドナルドにはしばらく行かなくなった。



30代後半から40代前半にまた極端に貧しくなり、その頃¥100マックが始まり、牛丼やのり弁より安いと思って「ハンバーガー3つに水」なんて酷いオーダーをしていた。

そのころミートの両面焼きと保温が始まったようで、生ぬるく肉汁が出てしまったミートは、ケチャップの甘さに味を誤魔化された肉の繊維のような気がした。

それは「メイドフォーユー(Made For You または MFU)」というシステムが始まった変化だそうだ。

簡単に言えば、ミートやフィレオフィッシュなどのポーションなどを繁忙などを予測して作り置きして保温しておき、オーダー時にバンズや他の食材と組み合わせて、60秒以内に提供するシステムだ。

10分で廃棄する必要も無くなり、ロスの無いその効率化が¥100マックを生んだのだと思うが・・・

貧乏だった僕はその価格に随分と助けられたが、そのうち金稼いでマックでは無くモスバーガーを食える様になりたい、なんて思ったものだ。

1970年代のマックの味を知っていて、しがないバイトであったが作っていた身としては、「メイドフォーユー」のマックの味は何か惨めな気持にさせられる。

味が効率化の犠牲になったわけだ。



巷ではマックの凋落を、顧客ターゲットの迷走とか、フランチャイズ化しすぎてモラルが落ちたとか、健康志向へのトレンドの変化とか、いろいろなエコノミストや評論家、果ては政治家までコメントしている。

僕は経済やフードビジネスの専門家ではないから、上記のようなことはわからない。

しかし、マクドナルドが1970年代の味とクォリティを取り戻せば、少々価格が高くても顧客は戻ってくると、僕の感覚であるが、そんな気がする

そのためにも、カウンターからキッチンの全てが見渡せるオープンキッチン化と、誰に見せても恥ずかしくない食材とオペレーションが必要に思う。

1970年代のマクドナルドは高価ではあったが、それだけの価値があったように思う。



僕の仕事にも言えるけれど、効率化による価格破壊の時代は終わりつつあり、顧客目線に立った内容が伴わないと淘汰されていく時代に入りつつあると思う。

少々高価でも、自分に合った良い物を購入したい。

なんて書きながら、僕の仕事の質はどうだろうか・・・なんて少々ネガティブになってしまった・・・

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